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空き家問題解決のための政策法務 法施行後の現状と対策

 2014年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家法)が制定されましたが、各地で空き家対策が問題となり、空家法が制定される以前から一部の自治体では条例がつくられていました。本書では空家法の逐条解説、空家法制定前及び制定後につくられた各地の条例の紹介、条例及び空家法執行上の法的問題などが記されています。著者は法学部教授で「深刻化する「空き家」問題 全国実態調査からみた現状と対策」の第1章の著者でもあります。

 1983年に沼田町、1998年に長万部町で施行された空き家条例の先例がありましたが、2010年に所沢市で制定されたことがきっかけで各地に制定の動きが広まり、国交省によれば空家法制定時点で401の空き家条例があったそうです。

 現行の空家法には危険な空き家を取り壊す(除却)までに助言・指導、勧告、命令と長い手続きがあり、倒壊などの危険が迫っている場合の即時執行に対応できないことや、長屋の一部が空き家となった場合には空き家と認定されないなど不十分なところがあり、施行後5年の見直しが必須のようです。所有者にかわって自治体が特定空家を取り壊す代執行で所有者が特定できていない場合は略式代執行と言い、空家法では略式代執行ができるようになっています。2015年と16年で代執行が11件、略式代執行が35件実施されていて、空家法はよく利用されている法律と言えるようです。略式代執行で所有者不明であれば費用は請求できませんが、後から所有者が判明した場合、所有者に費用を請求しようとすれば民事訴訟が必要になると考えられるようです。取り壊そうとしている空き家に複数の相続人などの所有者が見つかれば、略式代執行ができなくなり、代執行までの行政の手間が増えます。略式代執行実施後に所有者が判明した場合にも費用請求のための手間が増えます。自治体には所有者を積極的に探すインセンティブは働かないようです。空家法実施後、この法律で自治体が廃屋をすぐに壊せると考える住民の誤解で「苦情」「陳情」「要望」が増えて行政の負担はかなり増えているようです。空家対策の必要性を感じず条例をつくっていなかった一部の自治体にとって、全国一律に適応された空家法は、はた迷惑な法律だったのかもしれません。規模の小さな自治体には空家法の施行のための県や国の支援も必要でしょう。

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