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昆虫の行動の仕組み 小さな脳による制御とロボットへの応用

 動物行動のアルゴリズムに興味があるという研究者によって、「昆虫の行動の仕組み」について記された本です。目標物の方向に眼や顔、頭、体などを向ける行動を定位行動と呼び、視覚によって起こる定位行動を視覚定位と称しています。視野の位置によって解像度と感度が異なり、両者はトレードオフの関係で、よく見ようとすれば、対象物が解像度の高い視野に来るように眼の位置を変える必要があるようです。人でも昆虫でも起こりますが、著者はカマキリが頭部を動かす実験を紹介しています。本論ではありませんが、カマキリについて積雪量を予測して大雪の予測の年は雪に埋もれないように高い位置に産卵するという話について間違いと指摘しています。カマキリの卵は雪に3か月埋もれても孵化する耐雪性があり、埋もれていたほうが鳥に食べられずに済むため好都合のようです。雪解け水によって水浸しになる被害はあっても損失は2割程度で問題とならないそうです。

 著者は「道教え」と言われる、ハンミョウの人の前を進んでは止まる繰り返しの行動を視覚定位で説明しています。ハンミョウは複眼で地上を徘徊しながら昆虫を探して餌としているとのことで、地表すれすれを歩いているため自身が動いているときは地面の画像などが動いて餌となる昆虫の動きと区別できなくなるため、立ち止まって餌の動きを確認して再度追尾する行動が「道教え」と見えているようです。対象物を解像度の高い領域でとらえて背景をノイズとして見やすくする視覚定位と同様に、立ち止まって動くターゲットを捉えやすくしようとする行動の原理を説明できるようです。ハンミョウは死んでいる昆虫も餌とするようですが、動く昆虫がターゲットとなれば、追いかける際に最善の行動は「道教え」となるのでしょう。

 動いている昆虫を捉えるためにはターゲットの進路を予測してターゲットの到達時刻にその位置に到達して捉える必要があります。その追尾行動をインターセプトと言いますが、トンボのインターセプトでトンボはターゲットに向かって進むのではなく「自分の進行方向を基準としたターゲットの方向を常に一定に保つこと」が最短距離で、実際にそうしているようです。この場合ターゲットから見たトンボの位置がほとんど変わらず、トンボが近づいていることに気づきにくいという、トンボから見た利点があるようです。

 昆虫は胸部神経節が歩行や飛翔の制御を行っていると考えられ、頭を切り落とされたカマキリも普通に歩くそうです。

 最終章で昆虫の研究の意義について昆虫の運動のアルゴリズムを利用したロボットについて紹介していますが、これまでの昆虫研究の成果として警告色にも言及されています。警告色は毒を持つ生き物が派手な体色で捕食者が識別できるようにアピールする体色のことで、昆虫の警告色では捕食者として鳥だけが想定されていましたが、近年はカマキリの重要性も指摘されているとのことです。

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