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富山の祭り 町・人・季節輝く

 富山には多くの祭りがあります。八尾の「おわら風の盆」は有名ですが、それ以外にも2016年に「山・鉾・屋台行事」としてユネスコ無形文化遺産に富山県から選ばれた高岡御車山祭、城端曳山祭、魚津たてもん祭りもあります。本書には、上記に加え、福野夜高祭、伏木曳山祭、岩瀬曳山車祭、となみ夜高まつり、さんさい踊り、つくりもんまつり、放生津(新湊)曳山祭の合計11行事が章立てで紹介されています。さらに、コラムで子供曳山祭り(富山市四方)、高砂山願念坊祭り(富山市下大久保)、八尾曳山祭、五箇山麦屋まつり(南砺市下梨)、こきりこ祭り(南砺市上梨)、布橋灌頂会(立山町芦峅寺)、ネブタ流し(滑川市)、ヤンサンマ(射水市加茂)、邑町のサイノカミ(入善町上野)が取り上げられています。さらに、「富山の祭りを概観する」と題した第1章では上記以外に、オーベッサマ迎え、山の神祭り(黒部市宇奈月町下立)、築山神事(高岡市二上)、氷見祇園祭(氷見市)にも言及されています。

 曳山は京都の祇園祭の山・鉾のような大きな造形物を曳き回す行事で、曳き回すものは「山車」もしくは「山」と書いて、北陸では「やま」と読むようです。「山車」と書いて「だし」と読むと、子どもの頃に覚えていましたので、関東では主に「だし」と呼んでいるのでしょう。富山県は曳山行事が多いように思っていましたが、1997年宇野氏の「加越能の曳山祭」によると「越中の曳山91輌、庵屋台14基、行灯の山車約100基、これらを加えた総数は200ほどで、県レベルでは多い数ではない」と本書に紹介されています。

 高岡の御車山祭は1610年の創始と伝承される全国でも歴史のある曳山祭りのようです。高岡の町衆は近隣の町が御車山に類似した山車を創ることを許さず、金沢に曳山祭りがないのはそのためとのことです。富山の曳山祭りは造形物の優雅さを競って見せるものと、異なる町内の曳山同士が相対して争う「けんか山車」タイプがあります。本書に記載されている中では、福野と砺波の夜高祭り、伏木と岩瀬の曳山がこのタイプです。福野夜高祭では二日目(最終日)にすれ違う際、互いの行燈を壊しあう「引き合い」をし、となみ夜高まつりでは初日に「ヨータカ」と呼ぶ行燈の造形美を競い、2日目は「突き合わせ」でヨータカをぶつけ合います。伏木では「かっちゃ」、岩瀬では「曳き合い」とよぶ山車のぶつけ合いをします。岩瀬で山車は「たてもん」と呼ばれ、魚津のように本来、背の高いものでしたが町に電線が張られて背が低くなったようです。青森のねぶた、弘前のねぷたも同様で、青森でも背は低くなりましたが、道幅が広がったことにより横に大きくなっていったようです。岩瀬では道幅が狭く台車が固定されていたため大きくならなかったそうです。

 魚津のたてもんは車輪がなくソリ台に載せた大万燈をアスファルトを削りながら人力で曳き回すようです。

 夜高祭りや岩瀬の曳山などでも青森のねぶたのような造形物を曳き回しますが、滑川のネブタ流しでは装飾した藁大松明に火をつけて海上に流すようです。柳田國男によれば、滑川がねぶたの日本海側南限で「ネムタ流され、朝起きやれ」と言いながら子供たちが村中を回って松明を運ぶ、この行事が「ねぶた」の原形のようです。

 富山も多くの町で人口が減少し伝統の祭りを継承することは簡単ではありませんが、ボランティアの助けを借りるなど、どの町でも創意工夫をしながら祭りを維持しているようです。

富山の祭り 町・人・季節輝く [ 阿南透 ]

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