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続十六の墓標

 連合赤軍事件で逮捕された永田洋子氏が事件を総括した「十六の墓標」への反響を踏まえた続編として書かれたものです。控訴審で死刑判決が出され、「1988年3月末に上告趣意書を書き上げてから直ちに取りかかったものの、完成するまでには実に1年7か月もかかってしまいました。」と1989年11月8日の署名で「おわりに」記しています。

 控訴審判決では永田洋子氏を死刑とした一審の判決が維持され、同志を殺害した殺人について犯行理由を「被告人の個人的資質の欠点と森の器量不足に大きく起因」としましたが、永田氏は「革命戦士への変革を目指すという共産主義化のための総括」と主張し、リンチ事件での自身の役割に関する事実認定にも不満があったようです。永田氏が「反感や不快、対抗意識ないし嫉妬などの個人的な感情」で多くの同志を殺害したとは考えられず、目的のためには手段としての暴力を肯定する革命思想がリンチ事件の背景にあったものと思います。裁判所は判決で革命思想に踏み込むのを避けたのでしょう。どのような理由でも殺人に対する死刑判決は変わらないから、事件の動機や背景を解明する努力を怠ったのかもしれません。オウム事件の裁判を考えても、裁判所は犯行の理由を解明することに熱心ではないように見えます。

 本書には、人権侵害と思われる過酷な取り調べや留置場での処遇が記されています。逮捕時に永田氏が保持していた現金を警官に押収され猫糞されたことや、生理用品や食品を看守を通して購入することができず「(取調べの)刑事さんに買ってもらいなさい」と言われ、自白の強要に利用されていたという実態も記されています。拘置所では病気の訴えに対しても十分な処置がされず、最終的に永田氏は、脳腫瘍(松果体部腫瘍)が進行し最高裁判決後死刑執行前に拘置所で亡くなっています。

 永田氏は自身で事件を振り返り、正しい「連赤総括」を行うことを使命と考え獄中生活を過ごしたようです。獄中でマルクスの資本論の英訳書を使って資本論の勉強をし、日本の左翼はブルジョア革命を経ずに共産主義化を目指したため、「上からの指導」に絶対的な服従を強制する「旧日本軍」のような「封建的社会主義」に陥っていたと総括するまでに至ったものと思います。

 約30年前の本で、拘置所や取調べなどでの人権侵害は改善していると思いたいところですが、警察署の取り調べの可視化への抵抗を考えるとあまり変わっていないかもしれません。

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