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FX取引の王道 外貨資産運用のセオリー

 外国為替証拠金取引いわゆるFXについて、銀行や証券会社で為替ディーラーとして勤めた著者が解説した本です。外国為替市場の歴史や基本的な用語の説明、FX取引の仲介会社(FX会社)のビジネスモデルをはじめとしたFX取引の解説が分かりやすく書かれていて、FX初心者にも分かりやすい解説本になっています。

 外国為替市場でBIS調査の日本の銀行等のスポット取引額は2016年4月で1日平均1217億米ドル、金先協会の統計でFX取引額は1807億米ドル、従って日本の外国為替スポット取引の約6割がFX取引とのことです。FX取引の一部はFX会社の自社内で売りと買いによって相殺されますが、相殺されない分についてFX会社は銀行等とカバー取引をしています。FX会社全体として41.3%がカバー取引され2016年4月のデータで1日平均343億米ドルとなり、「銀行等が行うスポット取引全体のうち28%の流動性を供給している」とのことです。銀行等のスポット取引は60%がインターバンク取引、40%が顧客取引なので、顧客取引の70%はFX会社との取引ということになるようです。日本の外国為替市場でのFXの影響力の大きさが分かります。

 著者は本書のコラム(topics)で「政府は投機は悪いもので、投資は推奨すべきものとしているようですが」、「投資と投機はいずれも資産運用でありその手法に違いがあるだけです。」と為替ディーラーらしく投機を肯定しています。著者は本書で低コストのFX取引を外貨預金の代わりに利用することを勧めています。「投資と投機を厳密に区別することは難しい」のですが、一般的には事業等への資金の拠出で事業が成長して利益を上げれば参加者全員が利益を得られる可能性のあるプラスサムが投資で、値動きで利益を得ようとするため参加者全体で収益と損失が相殺されるゼロサムが投機と説明されるようです。この説明では長期の株式保有が投資でFXは投機となりますが、投機には市場に流動性を供給し、「公正で民主的な価格形成」に資する役割があるようです。

 本書には為替相場を予測する方法として経常収支や購買力平価などに注目するファンダメンタルズ分析と為替相場のチャートを解析するテクニカル分析についても解説されています。地政学的なリスクで短期的に為替相場が動く要因についての解説もあり、「リスクオン」で円が買われる仕組みについて、低金利の円を借りて高金利のドルや新興国通貨で運用する円キャリートレードの存在について説明しています。有事となると取りあえず借りている資金を返そうとして保有している新興国通貨などを円に換えるため、円が買われて円高になるとのことです。同じことは低金利のスイスフランでも起こっているようです。絶対購買力平価についてはOECDの算出しているものが代表的とのことです。

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